建築物の既存建物調査(遵法性調査)について
既存建物調査(遵法性調査)とは何か?
既存建物調査(遵法性調査)とは、建築基準法をはじめとする関係法令に、既存の建物が適合しているかどうかを調査することです。具体的には、建築確認検査済証の有無、建築当時の図面との照らし合わせ、現況の構造や設備の確認などを行い、法的な問題がないか、安全に利用できる状態かどうかを判断します。
既存建物調査はどのような流れで行われるか?
- 依頼: 建物の所有者や管理者から調査依頼を受けます。
- 準備: 調査対象となる建物の図面、写真、過去の改修履歴などの資料を収集します。
- 現地調査: 内外装、構造、設備など建物全体を調査します。
- 法令との照らし合わせ: 調査結果を基に、建築基準法をはじめとする関係法令との適合性を確認します。
- 報告書の作成: 調査結果をまとめ、法的な問題点や改善点などを具体的に示した報告書を作成します。
既存建物調査が必要なケース
- 検査済証がない建物: 建築確認検査済証がない場合、法的な手続きが適切に行われていない可能性があります。
- 増改築を行った建物: 増改築により、建築基準法に抵触する部分が生じている可能性があります。
- 用途変更を検討している建物: 用途変更に伴い、新たな法規制の対象となる可能性があります。
- 不動産売買: 購入者が建物の状態を正確に把握するために、調査を行うことがあります。
- 金融機関からの融資: 担保評価のために、建物の法的な状態が求められることがあります。
既存建物調査を実施する理由
- 建物の現状を正確に把握できる: 建物の状態を客観的に評価し、今後の維持管理計画に役立てることができます。
- 法的な問題を事前に発見できる: 法的な問題を早期に発見し、適切な対策を取ることができます。
- 建物の価値向上: 法的な問題が解消され、建物の価値が向上する可能性があります。
- 安心・安全な建物利用: 安全な状態で建物を利用できるようになります。
- 不動産取引の円滑化:売主はスムーズな売却が可能になり、買主は安心して不動産取引を進めることができます。
既存建物調査と「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」
近年、検査済証のない建築物が増加していることを背景に、国土交通省は「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」を策定しました。このガイドラインでは、検査済証がない建物に対して、建築基準法への適合性を調査するための具体的な手順や基準が定められています。既存建物調査は、このガイドラインに基づいて実施されることが一般的です。
まとめ
既存建物調査は、建物の安全な利用と、不動産取引の円滑化のために非常に重要な役割を果たします。特に、検査済証がない建物や、増改築を行った建物については、専門家による調査をおすすめします。